きちんと睡眠をとっているはずなのに、鏡に映る自分の顔はなんだか眠たそうに見える。
最近、よく「疲れてる?」と言われる。
そんなあなたは、目の開きが悪くて、まぶたが重いなと感じてはいませんか?
また、まぶたが黒目に多く被さっていませんか?
それらは加齢による、まぶたのたるみではなく、もしかしたら「眼瞼下垂(がんけんかすい)」という病気かも知れません。
また、最近では若い方の眼瞼下垂が増えてきているようです。
一体、なぜなんでしょうか?
眼瞼下垂はなぜ起きてしまうのか、また眼瞼下垂になるとどういう状態になるのかを詳しく知る為に、「切らない眼瞼下垂手術」の考案者であり、眼瞼下垂の専門医である真崎医院 院長の真崎信行先生に、眼瞼下垂について聞いてきました!
CONTENTS
眼瞼下垂ってどんな症状なの?
分かりやすくいうと、よく漫画などで、おじいさんやおばあさんの顔がまぶたが重そうに垂れ下がったイメージで描かれていますよね?
あのような感じの目つきになるのが、眼瞼下垂の特徴です。
イメージイラスト
このように、黒目にまぶたが被さって視界が悪くなってしまい、眠そうに見えてしまうのが眼瞼下垂の特徴です。
イラストでは少し分かりづらいかと思いますので、当院の眼瞼下垂モニターの写真をお見せ致します。
こちらは、当院モニターの患者様の写真ですが、みなさん、まぶたが黒目に被さって眠そうに見えますよね。
眼瞼下垂になると、このようになってしまいます。
でも、なぜ眼瞼下垂にはなってしまうんですか?
加齢が原因ですか?
また、先天的眼瞼下垂といって、生まれつきそういう症状を抱えている方もいらっしゃいます。
先程の写真の男性(右下写真)は、先天性眼瞼下垂です。
先天的眼瞼下垂の原因については後ほど詳しくご説明します。
加齢だけが原因なんだと思ってました…
生まれつき眼瞼下垂という方もいるんですね!
自分が眼瞼下垂かどうか判断するには、どうすればいいんでしょうか?
眼瞼下垂は最近では一般的に認知されてきていますが、眼科で眼瞼下垂と診断されて初めてそういう症状であることを知りましたという患者様も多いんです。ご自身で眼瞼下垂かどうか分からないという方も多いので、眼瞼下垂が引き起こす症状やトラブルをチェックリストにまとめてみました。
是非一度、セルフチェックをしてみてください。
眼瞼下垂が引き起こす典型的な症状・トラブルの例
眼瞼下垂は、黒目がまぶたに被さるといった見た目の問題はもちろん、その他にも様々な弊害を及ぼす原因になります。
下記チェックリストに6つ以上印が付く方は、眼瞼下垂の疑いがあります。
また、特に上位4つの項目には注意が必要です。
眼瞼下垂セルフチェック
- まぶたが重く感じる
- 目の開きが悪くなり、黒目が隠れている
- 目の大きさが左右違う
- 眉毛とまつ毛の間隔が広がってきた
- 額にシワができる
- 目が疲れやすい
- 目元が疲れて見える
- まぶたの二重の幅が広がってきた
- 二重の線が薄くなり、増えてきた
- 上まぶたのくぼみが深くなった
- 頭痛や肩こりが続く
みなさん、いかがでしたか?
次は、なぜ眼瞼下垂になってしまうのかという原因について、掘り下げていきましょう。
眼瞼下垂の原因とまぶたの構造
まぶたが開く仕組み
このまぶたの構造のイラストを見て下さい。
青い文字で書かれてる「瞼板」という組織がありますよね。
まぶたは、この瞼板という支持組織によって形が保たれています。
この瞼板を引っ張る事により、まぶたが開きます。
瞼板を引っ張る筋肉を「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」といいます。
眼瞼挙筋から伸びた「挙筋腱膜(きょきんけんまく)」という組織と、「ミュラー筋」という筋肉が瞼板に結合し、バランス良く作用することでまぶたの位置を保ち、健康で正常なまぶたの開閉が行われます。
しかし、まぶたの形を保つ役割の「瞼板」という支持組織を引き上げる「眼瞼挙筋」という筋肉の力が弱まると、うまく瞼板を引き上げることができず、しっかりまぶたが上がらなくなってしまいます。
これが主な眼瞼下垂のメカニズムで、「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」と言われています。
目を開ける時に使う筋肉が弱くなって、まぶたが上がらなくなるってことで合ってますか?
それが加齢による眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)のメカニズムです。
まぶたへの刺激で眼瞼下垂になることも!
詳しく解説していきますね。
眼瞼下垂は、目のこすりすぎなどの日頃の生活習慣によって、眼瞼挙筋と瞼板の結合がゆるんだり、はずれたりして起こることもあります。
例えば、中年男性が飲食店などに入った際、おしぼりで顔をごしごしと拭くのを見かけたりしますよね。
その行為も、実は腱膜性眼瞼下垂を引き起こす原因のひとつになり得るんです。
また、花粉症やアトピーなどで目をよくこする人も、気をつけた方が良いと言えます。
女性の場合は、クレンジングの際にまぶたをゴシゴシするのにも注意が必要です。
コンタクトレンズが眼瞼下垂の原因に!
まぶたを擦ることによって起きる以外にも、最近はハードコンタクトレンズ愛用者の方の腱膜性眼瞼下垂も増えてきています。
皆さんの中にも、近視や乱視を矯正するためにコンタクトレンズを使っている人がいると思います。
最近のコンタクトの装用率は意外と高く、日本眼科学会のデータ(2008年)によれば、日本人の10人に1人がコンタクトレンズを使っていると推定されています。(参照: 日本眼科学会)
実際に、コンタクトレンズによる眼瞼下垂は、近頃急増しているという印象があります。
一見関係なさそうにみえるんですが…
コンタクトが眼瞼下垂を引き起こすのは、一種の異物としてまぶたに負担をかけるからです。
コンタクトレンズ性眼瞼下垂は、ソフトコンタクトレンズを使っている人にも起こりますが、特にハードコンタクトレンズを長期間使用している人の間で増えています。
まぶたにとって、コンタクトレンズは一種の異物となります。
その状態でまばたきを繰り返すことで、まぶたが内側から圧迫されて刺激を受け、その影響で腱膜が瞼板から外れてしまうことがあるのです。
ソフトコンタクトレンズよりも厚みのあるハードコンタクトレンズの方が、その影響が強いということです。
また、コンタクトレンズを外すときには、まぶたを指で引き上げることが多いと思います。
そのときに力が加わることも、腱膜性眼瞼下垂を起こすきっかけになると考えられています。
この患者様は、30年ハードコンタクトを使用していました。
ハードコンタクトの使用と加齢により、重度の眼瞼下垂になった事例です。
先天性眼瞼下垂の原因
先程も簡単に説明しましたが、先天性眼瞼下垂というのは、生まれつきの眼瞼下垂です。
先天性眼瞼下垂は、まぶたを開く眼瞼挙筋の力が生まれつき弱いとか、筋肉の動きに関係している神経に異常があるといったことが原因であるといわれています。
先天性の眼瞼下垂は、およそ80%の人が片目だけまぶたが下垂している、片側性の眼瞼下垂であるという特徴があります。
こちらは、先天性眼瞼下垂の患者様の写真で、右目(写真では左側)のみの片側性の眼瞼下垂です。
二重整形の失敗による下垂
また、最近若い患者様に多いのが、二重手術後に起きる下垂です。
二重手術の症例写真を見ていると、二重になっているけどイラストのようになんだか眠そうに見えてしまう症例を見たことありませんか?
(術後眠そうになってしまったイメージ)
二重埋没の場合、手術方法には瞼板法と挙筋法の2つがあります。
挙筋法という眼瞼挙筋(まぶたを持ち上げる筋肉)に糸を留める術式では、医師の技術が未熟であると、きちんとまぶたを上げることができないということが起きてしまいます。
また、糸の通し方によっても引き起こされる場合があります。
このように「二重手術後に眠そうになってしまった …」と修正手術に来られる患者様も、実は多いんです。
参照 : 「二重埋没法の手術前に絶対知っておきたい!瞼板法・挙筋法の違い!」
(まぶたを上げる技術がないと、眠そうな目になることがある!を参照)
まとめ
- 眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉にトラブルが生じて、黒目にまぶたが被さる状態のこと
- 腱膜性眼瞼下垂の原因は、加齢が多い
- 若い人でも、目をこするなどまぶたに負担をかけることで、眼瞼下垂になることがある
- コンタクトレンズによって眼瞼下垂になることもある
- 生まれつきの眼瞼下垂もある
- 二重手術後に眼瞼下垂が引き起こされる場合もある